Diverticulitis
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)とは、大腸(結腸)の壁にできた小さな袋状の突起(憩室)が炎症を起こし、腫れたり痛んだりする病気です。憩室自体は多くの人にありますが、炎症が起きると治療が必要になります。
重要な事実
- 憩室は大腸の壁の弱い部分が外に膨らんでできる小さな袋です。
- 加齢とともに憩室ができる人は増えますが、多くの人は無症状です。
- 炎症が起こると腹痛・発熱・便通の変化が現れます。
日本では40歳以上で約20~30%の人に大腸憩室が見られ、高齢になるほど頻度が上がります。全ての人が炎症を起こすわけではありませんが、年に数%の人が憩室炎を発症するとされています(厚生労働省の調査に基づきます)。
主に40歳以上の人、特に60歳以上の男性にやや多く見られます。低繊維食を長年続けている人や、便秘がちな人、肥満の人、喫煙者にもリスクが高いとされています。
症状
- 突然の強い腹痛(我慢できないほど)
- 高熱(39℃以上)と震え
- 大量の出血(便器が真っ赤になるほど)
- 意識がもうろうとする、または失神した
- お腹が板のように硬く触れる
- ⚠38℃以上の熱が続く
- ⚠吐き気や嘔吐が激しく水分を取れない
- ⚠排便が全く出ない(数日間)
- ⚠痛みが徐々に強くなっている
一般的な症状
- 左側の下腹部(多くの場合)の持続する痛み
- 発熱(37.5℃以上のことも)
- 吐き気や嘔吐
- 便秘や下痢、またはその両方
- お腹が張った感じ
原因
主な原因
- 大腸の壁の弱い部分に圧力がかかり、憩室(小さな袋)ができる。
- その憩室に便やばい菌が詰まって炎症を起こす。
- 原因ははっきりしませんが、低繊維食・便秘・加齢が関係すると考えられています。
リスク要因
- 40歳以上の年齢
- 肥満(BMI25以上)
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の常用
- ステロイド薬の長期使用
- 運動不足
- 低繊維・高脂肪の食生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合:すぐに119番または救急外来へ
- 強い腹痛と発熱が続く場合:当日中に受診
定期受診を予約すべき場合:
- 軽い腹痛や便通の変化が数日続く場合:かかりつけ医または消化器内科に相談
- 過去に憩室炎と診断されたことがあるが症状が再発した場合
診断
医師はまず症状とお腹の診察を行います。血液検査で炎症の程度を調べ、必要に応じてCT検査(コンピューター断層撮影)で憩室の炎症を確認します。大腸カメラ(内視鏡)は急性期には行わず、炎症が治まってから行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(白血球数やCRPという炎症のマーカーを調べる)
- 腹部CT(最も精度の高い検査で、憩室炎の診断の標準)
- 腹部エコー(超音波検査)も使われることがあります
診察で予想されること
診察室では、お腹のどの部分が痛いか、痛みの強さ、発熱の有無などを詳しく聞かれます。お腹を触られ、血圧や体温を測定。その結果、必要な検査が決まります。CT検査は造影剤を使って行うことが多く、点滴で造影剤を入れるため少し時間がかかります。
治療
治療は炎症の程度によって、自宅での安静と薬物治療、または入院治療が必要になることがあります。軽症の場合は外来で抗生物質の内服(飲み薬)と食事療法で済みますが、重症の場合は点滴による抗生物質投与と絶食が行われます。
自宅でのセルフケア
- 症状が軽い場合は自宅で安静にし、水分を十分に摂る
- 炎症が落ち着くまでは、繊維の少ないやわらかい食事(おかゆ、うどん、スープなど)を中心にする
- 痛みが続く間は無理に排便を促さない
- 市販の鎮痛剤は自己判断で使わず、医師に相談する(一部の痛み止めは憩室炎を悪化させることがあるため)
医療治療
軽症から中等症の憩室炎では、医師が処方する抗生物質の内服(通常10~14日間)が基本です。同時に消化の良い食事をとり、安静にします。症状が重い場合は入院し、点滴で抗生物質を投与し、絶食で腸を休めます。痛みに対しては医師が適切な鎮痛薬を使います。
手術が検討される場合
手術が必要になるのは、抗生物質が効かない重症の憩室炎、何度も再発する場合、あるいは穿孔(腸に穴があく)や膿瘍(うみの袋)ができた場合です。手術では炎症のある部分の大腸を切除します。緊急の場合と、炎症が落ち着いてから計画的に行う場合があります。
この病気と共に生きる
憩室炎を一度発症すると、再発を防ぐために生活習慣の見直しが大切です。特に便通を整え、腸に負担をかけないようにすることが基本です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日十分な水分(1.5~2リットル)を飲む
- 便秘を避けるためゆっくりと繊維質を増やす(始める時は医師と相談)
- 定期的な運動(ウォーキングなど)を続ける
- 禁煙する(喫煙はリスクを高めます)
- ストレスをためすぎないようにする
食事と運動
食事は、炎症が治まった後は少しずつ食物繊維を増やしていくことが勧められます。玄米、全粒粉パン、野菜、果物、豆類などをバランスよく。ただし、ナッツや種、トウモロコシなどが憩室に詰まりやすいという説もありますが、現在の研究では明確な根拠はありません。自分の体調に合わせて調整しましょう。運動は週に150分程度の有酸素運動(ウォーキングなど)が目安です。
精神的健康と心の健康
慢性的な腹痛や再発の不安、食事制限によるストレスが生じることがあります。また、重度の症状で入院した後は、気分が落ち込むこともあります。そうした気持ちは自然なことで、無理せず周囲や医療者に相談することが大切です。
予防
完全に予防することは難しいですが、リスクを減らすことはできます。食物繊維を多く含む食事、十分な水分、定期的な運動、禁煙、適正体重の維持が推奨されています。特に便秘を防ぐことが重要です。
ワクチン
憩室炎を直接予防するワクチンはありません。ただし、腸内環境を整えるために、必要に応じて医師の指導のもとで腸内細菌を整えるサプリメントなどを検討することはあります。
検診プログラム
憩室自体は無症状のうちはスクリーニングの対象にはなりません。大腸がん検診などで偶然見つかることが多いです。保健所や自治体の大腸がん検診(便潜血検査など)を定期的に受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 膿瘍(うみの袋)の形成
- 腸穿孔(腸に穴があく)
- 腹膜炎(お腹全体の炎症)
- 敗血症(感染が血液中に広がる)
- 腸閉塞(腸が詰まる)
- 瘻孔(ろうこう:他の臓器とつながる異常な通路ができる)
長期的な見通し
適切に治療すれば、多くの人は完全に回復します。軽症の場合は外来で治療が終わり、再発率は低くありませんが、生活習慣を改善することでリスクを下げられます。重症でも現代の医療で治療できることがほとんどです。焦らず、医師と相談しながら治療と予防を続けていきましょう。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。