Epilepsy
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- NICE—Epilepsies: diagnosis and management. NG217(2022)
- NHS—Epilepsy(2023)
- WHO—Epilepsy fact sheet(2022)
- ILAE—International League Against Epilepsy guidelines(2023)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に異常な電気信号を出すことで起こる病気です。この信号により、突然のけいれん(体が硬くなったり、震えたりする状態)や意識を失う発作(急に意識がなくなること)が現れます。てんかんは脳の病気の一つで、適切な治療により多くの人が発作をコントロールできます。
重要な事実
- てんかんは脳の病気で、発作を繰り返し起こすのが特徴です
- 日本では約100万人がてんかんを持っていると言われています(厚生労働省)
- 多くの場合、薬で発作を抑えることができ、普通の生活を送ることができます
- てんかんは人にうつる病気ではありません
はい、てんかんは珍しい病気ではありません。世界では約5000万人、日本では約100万人の方がてんかんを持っているとされています。どの年齢でも起こる可能性があります。
てんかんは子どもから高齢者まで、すべての年齢層に起こります。特に、幼い子どもと高齢者に多く見られますが、誰でも発症する可能性があります。
症状
- 発作が5分以上続く
- 発作が次々と起こり、その間に意識が戻らない
- 発作後、呼吸が戻らない、または呼吸が弱い
- 発作中にケガをした(頭を打ったなど)
- 初めての発作で原因がわからない
- ⚠発作の回数や種類が急に変化した
- ⚠発作の後、普段と違う行動や意識障害が続く
- ⚠発作で口や舌を噛んだ
- ⚠妊娠中に発作が起きた
一般的な症状
- 全身のけいれん(体が硬くなったり、激しく震えたりする)
- 意識を失う(呼びかけに応じなくなる)
- 小さな発作:数秒間ぼんやりする、意識がもうろうとする
- 異常な感覚(突然の恐怖感、見えないものが見える感覚など)
- 手足が勝手に動く、よだれが出る
子供の症状
- 突然のぼんやり(一点を見つめて反応しない)
- 寝ている間に手足がピクピク動く
- 短い意識消失(数秒で戻る)
- 学習の遅れや集中力の低下
- ただし、子どもにみられるこれらの症状は必ずしもてんかんとは限らないため、医師の診断が必要です
高齢者の症状
- 原因不明の転倒(発作によるふらつき)
- ぼんやりする時間が増える
- 記憶障害や混乱(認知症と間違われることもある)
- 脳卒中後の発作
- 高齢者では発作の症状が典型的でない場合があるため、注意が必要です
原因
主な原因
- 脳のけが(外傷、脳卒中、脳腫瘍など)
- 脳の感染症(髄膜炎・脳炎など)
- 生まれつきの脳の異常
- 遺伝的要因(家族にてんかんを持つ人がいる場合)
- 原因がはっきりしない「特発性てんかん」も多い
リスク要因
- 脳卒中や頭部外傷の経験
- 脳腫瘍や脳の手術歴
- 高熱や感染症による脳の炎症
- アルコールや薬物の乱用
- 睡眠不足や強いストレス
- 家族にてんかんの人がいる場合(一部の型)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 初めての発作が起きた場合
- 発作が5分以上続いたり、何度も繰り返す場合
- 発作中にケガをした、または呼吸が止まった場合
- 妊娠中に発作が起きた場合
定期受診を予約すべき場合:
- 発作の回数が増えた、または発作の様子が変わった
- 薬の効果に不安がある、副作用が気になる
- 発作が続いているが、緊急ではない程度の場合
- 発作はあるが、日常生活に大きな支障がない場合
診断
医師は、発作の様子(どんな症状がいつ、どのくらい続いたか)を詳しく聞き、脳波(脳の電気活動を調べる検査)や画像検査(MRIなど)を行って診断します。てんかんの診断には、発作が繰り返し起こることが必要です。
行われる可能性のある検査
- 脳波検査(EEG):脳の電気的な活動を記録する
- MRI検査:脳の構造異常を調べる
- 血液検査:電解質や感染症の有無を確認
- 長時間ビデオ脳波モニタリング:発作中の脳波を記録
診察で予想されること
診断には数週間から数ヶ月かかることがあります。医師はあなたの発作の詳しい状況を聞き、必要な検査を行います。検査は痛みを伴わないものがほとんどで、安心して受けられます。診断がついたら、治療方針について医師と一緒に話し合います。
治療
てんかんの治療の中心は薬による発作のコントロールです。多くの場合、薬を正しく飲むことで発作を減らしたり、なくしたりできます。薬が効かない場合や、発作の原因が脳の一部に限られている場合には、手術などの選択肢もあります。治療は一人ひとりの状態に合わせて行われます。
自宅でのセルフケア
- 決められた時間に薬を飲み忘れない
- 規則正しい生活を送り、十分な睡眠をとる
- アルコールは控えめにする、または避ける
- ストレスをためすぎないよう、リラックスする時間をつくる
- 発作が起きたときの安全対策を家族や周囲の人と確認しておく
医療治療
てんかんの治療では、抗てんかん薬(発作を抑える薬)を毎日服用します。薬の種類や量は、てんかんのタイプや年齢、ほかの病気の有無によって医師が決めます。薬で十分に発作が抑えられない場合や、副作用が強い場合には、手術治療や、脳に電気刺激を与える治療(脳刺激療法)などが検討されることもあります。これらの治療は専門医のいる病院で行われます。
手術が検討される場合
薬で発作がうまくコントロールできない場合、発作の原因となっている脳の一部を手術で取り除くことがあります。手術が可能かどうかは、発作のタイプや脳の状態を詳しく調べたうえで判断されます。手術後も経過観察が必要です。
この病気と共に生きる
てんかんがあっても、多くの人は学校や仕事を続け、趣味や社会生活を楽しむことができます。ポイントは、発作を引き起こすきっかけ(睡眠不足、ストレス、飲酒など)を知り、避けることです。また、周囲の人にてんかんのことを伝え、発作が起きたときの対応を共有しておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい生活を心がける
- ストレスをためず、適度な運動やリラックス法を取り入れる
- アルコールは控えめに、またカフェインの取りすぎに注意する
- 車の運転は医師の指示に従う(発作がある場合は運転禁止の場合もある)
- 入浴中や高い場所での作業など、発作が起きたときに危険なことは避けるか、対策をとる
食事と運動
バランスの良い食事をとることが基本です。特に、極端な食事制限は避けましょう。運動は体に良い影響を与えますが、水泳や登山など危険を伴うものは、必ず医師に相談し、安全対策を行ってください。一般的なウォーキングや軽いジョギングは多くの方に勧められます。
精神的健康と心の健康
てんかんの診断は、不安や孤独感を感じさせることがあります。また、発作への恐怖や周囲の理解不足から、うつや不安を抱える方も少なくありません。そうした気持ちを一人で抱え込まず、医師やカウンセラー、家族や友人に相談しましょう。日本では、てんかんの心理社会的サポートも重要視されています。
予防
てんかんのすべてを予防することはできませんが、発作の引き金を避けることで発作の頻度を減らせる場合があります。例えば、睡眠不足や過度のアルコール、ストレスを避けることが大切です。また、頭部外傷を防ぐために、安全運転や自転車に乗るときのヘルメット着用なども役立ちます。
ワクチン
一部の感染症(髄膜炎など)を予防するワクチンが、その病気による脳炎を防ぎ、てんかんリスクを下げる可能性があります。ただし、てんかんそのものを直接予防するワクチンはありません。ワクチンについてはかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
てんかんの定期的なスクリーニング検査は一般的ではありません。しかし、脳卒中や頭部外傷の後に発作のリスクを評価することはあります。また、家族にてんかんの人がいる場合、遺伝カウンセリングが役立つことがあります。
合併症
治療しない場合
- 発作が繰り返し起こり、日常生活に大きな支障が出る
- 発作中のケガ(転倒による骨折、頭部打撲など)
- 長く続く発作(てんかん重積状態)による脳へのダメージ
- 突然死(まれだが、発作がコントロールされていない場合にリスクがある)
- 社会的な孤立やうつ、不安など精神面への影響
長期的な見通し
てんかんは治療できる病気です。適切な治療を受ければ、約7割の人が発作を抑えられ、通常の生活を送ることができます。治療が難しい場合でも、新しい薬や手術など選択肢は広がっています。希望を持って治療に取り組み、医師とよく相談しながら自分に合った治療法を見つけていきましょう。
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国際機関
地域の団体
- 日本てんかん学会 ↗ · 日本
- 日本てんかん協会 ↗ · 日本
- 厚生労働省 - てんかんに関する情報 ↗ · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。