胆石による胆道痛(胆石疝痛)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
胆石疝痛(たんせきせんつう)は、胆のうや胆管にできる石(胆石)が、胆汁の通り道を一時的にふさぐことで起こる強い痛みです。痛みは急に始まり、みぞおちや右のあばら骨の下に感じることが多く、数十分から数時間続きます。石が動いて通り道が再び開くと、痛みは自然に治まります。
重要な事実
- 胆石は胆汁に含まれるコレステロールやビリルビンが固まってできる石のようなものです。
- 胆石があっても、多くの場合は症状がありません(無症候性胆石)。
- 胆石疝痛は、胆石が胆管の出口に一時的に詰まることで起こる発作的な痛みです。
- 痛みは食後、特に脂っこい食事の後に起こりやすいです。
はい、胆石は日本でもよく見られる病気です。成人の約10%が胆石を持っていると言われ、そのうち症状が出るのは一部です。年齢が上がるほど有病率が高まります。
40歳以上の女性に多く見られますが、男性でも起こります。肥満傾向の方、急激なダイエットをした方、妊娠中の女性、糖尿病の方、胆汁の流れが悪くなる病気のある方などがリスクが高いとされています。
症状
- 痛みが非常に強く、動けないほど
- 発熱や寒気がする
- 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
- 吐き気や嘔吐がひどく、水分も取れない
- 尿の色が濃くなる、便の色が白っぽくなる
- ⚠痛みが数時間以上続く、または繰り返す
- ⚠脂っこい食事の後だけでなく、常にみぞおちが痛い
一般的な症状
- 突然現れる強い痛み(みぞおちや右の肋骨の下、背中や右肩に広がることも)
- 痛みが波のように強くなったり弱くなったりする(疝痛)
- 痛みが食後30分から数時間後に起こる
- 吐き気や嘔吐を伴うことがある
- 痛みが15分から数時間続く
子供の症状
- 小児では症状がはっきりしないことが多いですが、腹痛や吐き気を繰り返す場合は注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では痛みを感じにくいことがあり、感染症(胆のう炎)など合併症で初めて発見されることもあります。
- 無症状でも合併症のリスクが高いため、健康診断などで見つかった場合には医師と相談することが大切です。
原因
主な原因
- 胆汁に含まれるコレステロールが過剰に固まる(コレステロール系胆石)
- 赤血球の分解産物であるビリルビンが固まる(ビリルビン系胆石)
- 胆のうの収縮機能が低下し、胆汁が停滞する
リスク要因
- 女性であること
- 40歳以上
- 肥満(特に腹部肥満)
- 急激な体重減少(ダイエットや胃手術後)
- 高脂血症
- 特定の薬剤(例:女性ホルモン剤など)の使用
- 肝臓や血液の病気(溶血性貧血など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが非常に強く、数時間続く
- 発熱や黄疸がある
- 吐き気や嘔吐が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 症状がないが、健康診断で胆石を指摘された
- 食後や脂っこい食事の後に軽い痛みを感じることがある
診断
医師が症状や身体診察に加え、画像検査を行って診断します。
行われる可能性のある検査
- 腹部超音波(エコー)検査:痛みがなく、胆石を見つけるのに最も一般的な検査です。
- 血液検査:肝機能や胆汁の流れの異常、感染の有無を調べます。
- CT(コンピューター断層撮影):胆石や合併症の状態を詳しく調べるために使われることがあります。
- MRI(磁気共鳴画像)やMRCP(磁気共鳴胆管膵管造影):胆管の中の石を評価するのに役立ちます。
診察で予想されること
診察では、症状の話やお腹の状態を診られます。超音波検査は痛みがなく、ゼリーのようなものをお腹に塗って機械を当てるだけです。結果はその場で説明してもらえることが多いですが、追加の検査が必要な場合もあります。
治療
治療は症状の有無や胆石の状態によって異なります。無症状なら経過観察が基本です。症状が出ている場合や合併症のリスクが高い場合には、食事指導、薬物療法、手術などの治療を検討します。
自宅でのセルフケア
- 脂っこい食事や大量の食事を避け、バランスの良い食事を心がける。
- 急激なダイエットをしない。
- 痛みが出たら、安静にして様子を見る。
- 医師の指示なしに、自己判断で痛み止めを服用しない(症状が隠れる可能性があります)。
医療治療
症状のある胆石に対しては、胆石を溶かす薬を使用することがあります(経口胆石溶解療法)。ただし、対象となる石の種類や大きさが限られており、効果には個人差があります。また、衝撃波で石を砕く治療(体外衝撃波胆石破砕療法)も行われることがありますが、こちらも選択肢は限られます。いずれも医師と相談の上で決めます。
手術が検討される場合
痛みが繰り返す、胆のう炎や胆管炎などの合併症がある場合、また合併症のリスクが高い場合(大きな石、胆のうの壁が厚い、石灰化など)には、胆のう摘出手術(腹腔鏡下胆のう摘出術)が検討されます。これは腹腔鏡という細いカメラを使ってお腹に小さな穴を開けて行う手術で、回復が早いことが多いです。手術は厚生労働省のガイドラインに沿って行われます。
この病気と共に生きる
胆石があっても症状がなければ日常生活に制限はありません。痛みの出やすい食事(高脂肪食、揚げ物、生クリームなど)を控えるように心がけましょう。痛みが起きたときは、安静にして、医師の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事をとる(特に朝食を抜かない)。
- 適切な体重を維持する(急な体重変動を避ける)。
- 適度な運動を習慣にする。
- 禁煙する(喫煙は胆石リスクを高める可能性があります)。
食事と運動
食事は野菜や果物、全粒穀物を多くとり、飽和脂肪酸(肉の脂身、バターなど)やトランス脂肪酸(加工食品)を減らすとよいでしょう。適度な有酸素運動(ウォーキングなど)を週に数回行うことが推奨されます。
精神的健康と心の健康
繰り返す痛みや手術への不安から、ストレスや気分の落ち込みを感じることがあるかもしれません。医師や看護師、家族に気持ちを話し、サポートを求めましょう。
予防
完全に予防することは難しいですが、以下の生活習慣がリスクを下げる可能性があります。
ワクチン
該当しません
検診プログラム
健康診断の腹部超音波検査で胆石が見つかることがあります。症状がなくても定期的な検診を受けることは大切です。
合併症
治療しない場合
- 急性胆のう炎(胆のうに炎症が起こり、強い痛みや発熱が出る)
- 急性胆管炎(胆管が詰まって感染を起こし、黄疸や高熱、意識障害など重篤な状態になる)
- 急性膵炎(胆石が膵臓の出口をふさぎ、炎症を起こす)
- 胆石性イレウス(胆石が腸に落ちて腸閉塞を起こす)
- 胆のう癌(まれですが、長期間胆石があるとリスクがわずかに上がる)
長期的な見通し
胆石疝痛は適切な治療と生活習慣の改善で多くの場合コントロールできます。症状がなくても定期的に医師の診察を受けることで、合併症を予防できます。手術が必要になっても、腹腔鏡手術は回復が早く、その後は普通の生活に戻れます。希望を持って治療に取り組みましょう。
サポートを探す
地域の団体
- 日本内科学会 患者さん向け情報 ↗ · 日本
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。