Hyperthyroidism
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)とは、首の前側にある甲状腺という臓器が、体に必要な甲状腺ホルモンを過剰に作り出してしまう病気です。このホルモンが多すぎると、体の代謝(エネルギー消費)が異常に活発になり、さまざまな症状が現れます。
重要な事実
- 甲状腺ホルモンは、心拍数や体温、エネルギー消費などを調節しています。
- バセドウ病(Basedow病)が原因の約9割を占めます。
- 適切な治療により多くの場合、症状は改善します。
比較的よく見られる病気で、日本人の約100人に1人がかかると言われています。特に女性に多く見られます。
20〜40代の女性に最も多く発症しますが、男性や高齢者、子どもにも起こります。
症状
- 突然の強い動悸、息苦しさ、胸の痛み
- 意識がもうろうとする、または失神した
- けいれんが起きた
- 熱中症のような症状(高熱、意識障害)が出た
- ⚠普段よりずっと強い動悸が続く
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠激しい頭痛や吐き気がある
- ⚠便に血が混じる、または黒い便が出る
一般的な症状
- 動悸(心臓がドキドキする)
- 手のふるえ
- 汗をかきやすくなる
- 暑がりになる
- 体重が減る(食べてもやせる)
- 疲れやすい
- イライラしやすくなる
- 眠れない
- 便がゆるくなる、または下痢
子供の症状
- 落ち着きがなくなる
- 授業中に集中できない
- 成績が急に落ちる
- やせてくる
- イライラして怒りっぽくなる
高齢者の症状
- 動悸や汗などの典型的な症状が現れにくいことがある
- むしろ無気力、元気がない、食欲不振
- 体重減少だけが目立つ
- 心房細動(不整脈)を起こしやすい
原因
主な原因
- バセドウ病(自己免疫疾患の一種で、自分の免疫が甲状腺を攻撃してホルモンを過剰に出させる)
- 甲状腺にできる良性の結節(しこり)がホルモンを作る「プランマー病」
- 甲状腺炎(一時的に甲状腺が炎症を起こし、中にためたホルモンが漏れ出る)
- ヨウ素を多く含む薬や造影剤の影響
リスク要因
- 女性であること
- 家族に甲状腺疾患の人がいる
- 喫煙(バセドウ病のリスクを高める)
- ストレス
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
- 脈が速くて息苦しい、意識が遠くなる感じがする
定期受診を予約すべき場合:
- 動悸や手のふるえが続く
- 体重が急に減った
- イライラや不眠が続く
- 首の前が腫れているように感じる
診断
血液検査で甲状腺ホルモンの量とTSH(甲状腺刺激ホルモン)という脳からの指令の値を調べることで診断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(FT4、FT3、TSH)
- 甲状腺抗体検査(バセドウ病かどうかを確認)
- 甲状腺エコー(超音波)検査(甲状腺の形状やしこりの有無を調べる)
- 甲状腺シンチグラフィ(放射性ヨウ素を使って甲状腺の働きを調べる)
- 心電図(不整脈の確認)
診察で予想されること
医師が首の触診をした後、採血を行います。必要に応じてエコーやその他の検査を追加します。結果が出るまで数日から1週間ほどかかることがあります。
治療
治療の目的は過剰な甲状腺ホルモンを正常な量に戻すことです。主に薬物療法、放射性ヨウ素療法、手術の3つの方法があります。どの治療法を選ぶかは年齢や症状、生活環境などを考慮して医師と相談して決めます。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとる
- カフェインの多い飲み物(コーヒー、紅茶、エナジードリンク)を控える
- 激しい運動は避け、軽いウォーキングなどから始める
- ストレスをためないようにリラックスする時間を作る
- 禁煙する(喫煙は症状を悪化させる)
医療治療
薬物療法では、甲状腺ホルモンの産生を抑えるお薬を毎日飲みます。放射性ヨウ素療法は、甲状腺にヨウ素を取り込ませて放射性の作用で過剰に働く細胞を抑える方法です。これらの治療は医師の管理のもとで行われます。お薬の種類や量は症状や検査結果に合わせて医師が調整します。
手術が検討される場合
甲状腺の一部または大部分を切除する手術が行われることがあります。主に、大きな甲状腺腫(甲状腺の腫れ)がある場合、薬が効きにくい場合、または悪性腫瘍の可能性がある場合などに検討されます。
この病気と共に生きる
治療を続けながら、定期的に血液検査を受けてホルモンの状態を確認します。症状が落ち着けば普通の生活ができますが、無理はせず体調の変化を医師に伝えることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に食事と睡眠をとる
- 疲れを感じたら無理せず休む
- 医師の指示通りの服薬を忘れずに
- 定期的に体重と脈拍をチェックする
食事と運動
カフェインや刺激の強いものは控えめに、栄養バランスの良い食事をとりましょう。ヨウ素の多い食品(昆布やわかめなど)を極端にたくさん食べるのは避けてください。運動は、症状が治まった後に医師と相談しながら始めると安全です。
精神的健康と心の健康
甲状腺ホルモンの過剰は気分の変動や不安感、イライラを引き起こします。治療が進むにつれて精神的な症状も改善しますが、つらいときは一人で抱え込まずに医師や家族に相談しましょう。
予防
残念ながら、甲状腺機能亢進症の多くは自己免疫が原因で、完全に予防する方法はわかっていません。ただし、禁煙やストレス管理はリスクを下げる可能性があります。
合併症
治療しない場合
- 心房細動(不整脈)から脳梗塞を起こすリスク
- 心不全(心臓のポンプ機能が低下する)
- 甲状腺クリーゼ(甲状腺ホルモンが急激に上昇し、高熱や意識障害を起こす危険な状態)
- 骨粗鬆症(骨がもろくなる)
- 妊娠中の女性は流産や早産のリスクが高まる
長期的な見通し
治療をしっかり受ければ、甲状腺クリーゼなどの重い合併症は防げます。多くの場合、数週間から数か月で症状は改善し、通常の生活に戻れます。一部の方は長期的な治療が必要になりますが、健康を維持することは十分可能です。
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- 日本甲状腺学会(患者向け情報) ↗ · 日本全国
- 甲状腺疾患友の会 ↗ · 日本全国(オンライン対応あり)
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。