Hypothyroidism
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)は、のどぼとけの下にある甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが十分に作られなくなる病気です。このホルモンは体の新陳代謝(エネルギー消費や体温調節など)を調節する働きをするため、不足すると全身の動きがゆっくりになります。
重要な事実
- 甲状腺機能低下症は、治療可能な病気です。
- 多くの場合、毎日薬を飲むことで症状が改善します。
- 放置すると他の健康問題を引き起こす可能性がありますが、治療でリスクは大幅に減ります。
はい、比較的多く見られる病気です。日本では約100人に1人程度と言われています。
女性に多く見られ、特に40歳以上の女性に多いです。加齢とともにリスクが上がります。また、自己免疫疾患(橋本病など)がある方にも多く見られます。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない(粘液水腫性昏睡の可能性)
- 体が異常に冷たく、震えが止まらない
- 呼吸が苦しい、または浅くて速い
- ⚠極度の疲労で日常生活が続けられない
- ⚠声がかすれる、飲み込みにくい
- ⚠心臓の鼓動が異常に遅いと感じる
一般的な症状
- 疲れやすく、だるい
- 寒がりになる
- 体重が増えやすくなる
- 肌や髪が乾燥する
- 便秘がちになる
- 集中力が落ちる、物忘れが多くなる
子供の症状
- 成長が遅れる(低身長)
- 学業成績が低下する
- 活発さがなくなる、無気力になる
高齢者の症状
- 記憶力の低下や認知機能の衰え
- うつ症状(気分の落ち込み)
- 転びやすくなる
- 食欲不振による体重減少(非典型的な症状)
原因
主な原因
- 橋本病(自己免疫疾患):免疫が自分の甲状腺を攻撃する
- 甲状腺の手術や放射線治療の影響
- ヨウ素の過剰摂取(まれ)
- 脳の下垂体や視床下部の病気(中枢性甲状腺機能低下症)
リスク要因
- 女性であること
- 40歳以上であること
- 家族に甲状腺疾患を持つ人がいる
- 他の自己免疫疾患(1型糖尿病、関節リウマチなど)を持っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がもうろうとする、または異常な眠気がある
- 体温が低くて震えが止まらない
- 呼吸が苦しい
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れやすさや寒がり、体重増加などの症状が続く
- 首の付け根(のどぼとけの下)が腫れてきた
- うつ症状や認知機能の低下が気になる
診断
診断は主に血液検査で行います。甲状腺ホルモン(TSH、FT4)の値を測定します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:TSH(甲状腺刺激ホルモン)の上昇とFT4(遊離サイロキシン)の低下を確認
- 甲状腺自己抗体検査(抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体):橋本病の診断に役立つ
- 甲状腺エコー検査:甲状腺の大きさや形、結節の有無を調べる(必要に応じて)
診察で予想されること
血液検査は腕から採血するだけの簡単な検査です。結果は数日で分かります。医師から結果の説明と治療の相談があります。
治療
治療の基本は、不足している甲状腺ホルモンを薬で補うことです。毎日1回、朝に飲むことで症状が改善します。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示通りに毎日きちんと薬を飲む
- 同じ時間に服用し、他の薬やサプリメントとは間隔を空ける(特にカルシウムや鉄のサプリメント)
- 定期的に血液検査を受けて、薬の量が適切か確認する
医療治療
治療には、合成甲状腺ホルモン薬の補充療法が用いられます。医師が患者さんの年齢、体重、症状の程度に合わせて量を調整します。治療開始後は数週間ごとに血液検査を行い、適切な量に調整します。
手術が検討される場合
甲状腺機能低下症の治療で手術が必要になることはほとんどありません。ただし、甲状腺にがんや大きな結節がある場合など、別の理由で手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
治療がうまくいけば、通常の日常生活を問題なく送ることができます。薬を飲み続けることが大切で、飲み忘れがないように工夫しましょう(例:朝の歯磨きの後に飲む、薬ケースを使う)。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に薬を飲む習慣をつける
- 定期的に医師の診察と血液検査を受ける
- 自分の症状の変化に注意し、気になることがあれば早めに相談する
- ストレスを溜めすぎないようにし、リラックスする時間を作る
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、ヨウ素を含む食品(昆布やわかめなど)を過剰に摂取しないようにしましょう。バランスの良い食事と適度な運動(ウォーキングなど)は全体的な健康に役立ちます。
精神的健康と心の健康
甲状腺機能低下症は、うつ症状や気分の落ち込みを引き起こすことがあります。治療によってこれらの症状も改善することが多いですが、もし気分の落ち込みが続いたり、生きるのがつらいと感じたら、一人で抱え込まずに医師に相談してください。また、周りの人に助けを求めることも大切です。
予防
甲状腺機能低下症の多くは自己免疫疾患などが原因で、完全に予防することはできません。しかし、早期発見と治療で重症化を防ぐことができます。
検診プログラム
特にリスクの高い方(女性、40歳以上、甲状腺疾患の家族歴がある方、他の自己免疫疾患を持つ方)は、定期的な血液検査(TSH測定)を受けることが推奨されます。日本では健康診断で甲状腺機能が検査されることは少ないですが、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 心臓病(心不全、不整脈)のリスクが高まる
- 血中コレステロール値が上昇し、動脈硬化が進む
- うつ病や認知機能の低下が悪化する
- 女性の場合、月経不順や不妊の原因になる
- まれに命に関わる「粘液水腫性昏睡」という緊急状態になることがある
長期的な見通し
甲状腺機能低下症は、適切な治療を続ければほとんどの症状が改善し、通常の生活を長く続けられます。治療を始めると気分が良くなり、エネルギーも戻ってきます。定期的な診察と薬の調整を続ければ、健康な人と変わらない人生を送ることができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。