Mumps
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスというウイルスが原因で起こる感染症です。主に耳の下のあごのつけ根にある「耳下腺」という部分が腫れて痛みを伴います。感染力が強く、飛まつ(咳やくしゃみのしぶき)で広がります。多くの場合、自然に治りますが、まれに合併症を起こすこともあります。
重要な事実
- おたふく風邪はウイルス感染症で、抗菌薬(抗生物質)は効きません。
- 主な症状は耳下腺の腫れと痛みですが、発熱や頭痛を伴うこともあります。
- 予防には予防接種(ワクチン)が有効で、日本では麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)などと組み合わせて定期接種が行われています(厚生労働省推奨)。
おたふく風邪は、日本では毎年、特に冬から春にかけて流行が見られます。子どもの間で広がりやすいですが、大人もかかることがあります。
主に5〜9歳の子どもがかかりやすいですが、予防接種を受けていない人や免疫が弱っている人は年齢を問わず感染する可能性があります。
症状
- 急に激しい頭痛や嘔吐が続く
- 首が硬くなり、光がまぶしく感じる(髄膜炎の可能性)
- けいれん(ひきつけ)が起きる
- 意識がもうろうとする
- ⚠睾丸(男性)や卵巣(女性)に激しい痛みや腫れがある
- ⚠耳が聞こえにくくなったり、耳鳴りがする
- ⚠腫れがひどく、呼吸や飲み込みが苦しい
- ⚠症状が長引く(1週間以上)
一般的な症状
- 耳の下(耳下腺)の腫れと痛み(片側または両側)
- 発熱(37〜39度程度)
- あごを動かすときや酸っぱいものを食べるときの痛み
- 頭痛、疲れやすさ、食欲不振
子供の症状
- 上記の症状が出ることが多い
- 腫れが目立ち、痛がるため食事を嫌がることがある
- 症状は約1週間で軽快することが多い
高齢者の症状
- 大人は子どもより症状が重くなることがある
- 高熱が出やすい
- 耳下腺の腫れが強く、痛みが長引くことがある
原因
主な原因
- ムンプスウイルスというウイルスに感染することで起こります。
- 感染した人の咳やくしゃみのしぶき(飛まつ)を吸い込んだり、ウイルスがついた手や物に触れることで広がります。
リスク要因
- 予防接種を受けていない
- おたふく風邪にかかったことがない(免疫がない)
- 保育園や学校など人が密集する場所にいる
- 免疫力が低下している(病気や治療による)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状や早急な診察が必要な症状がある場合
- 耳下腺の腫れが急に悪化した場合
- 発熱が40度以上続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の下が腫れて痛みがあるが、他に強い症状がない場合でも、診断を確定するために医療機関を受診しましょう。
- おたふく風邪かどうか分からない場合
- 合併症が心配な場合
診断
医師が症状(特に耳下腺の腫れ)と流行状況から診断します。必要に応じて、血液検査やウイルス検査を行い確定診断をします。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(抗体検査):感染しているかどうかを調べます。
- PCR検査:のどや鼻のぬぐい液でウイルスの遺伝子を調べます。
- 画像検査(超音波など):耳下腺の腫れの程度を確認する場合があります。
診察で予想されること
診察では、腫れや痛みの様子、発熱の有無、最近の接触歴などを聞かれます。必要に応じて検査が行われますが、多くの場合は症状だけで診断がつきます。診断後は、感染を広げないために自宅で安静に過ごすよう指示されます。
治療
おたふく風邪には特別な治療薬はなく、症状をやわらげる対症療法が中心です。安静と水分補給を心がけ、痛みや発熱には医師の指導のもとで市販の解熱鎮痛薬を使うこともあります(ただし、アスピリンを含む薬は子どもには使えません)。必ず医師や薬剤師に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 安静にして、十分な睡眠をとる。
- 水分をこまめに取る(冷たい飲み物やぬるめの飲み物が飲みやすい)。
- 痛みがあるときは、柔らかくて酸味の少ない食事(おかゆ、うどん、スープなど)をとる。
- 腫れている部分を冷やすと痛みが和らぐことがある。
- 感染を広げないために、腫れが引くまで外出を控える(目安:腫れ始めてから5〜7日間)。
医療治療
症状が重い場合や合併症が疑われる場合には、入院して点滴や解熱鎮痛薬の投与などの治療が行われることがあります。合併症(髄膜炎や睾丸炎など)に対しては、それぞれに合わせた治療が行われます。具体的な薬の名前や用量は医師が判断しますので、自己判断で薬を使わないでください。
手術が検討される場合
おたふく風邪そのものに対して手術が必要になることは通常ありません。ただし、まれに睾丸炎が重症化して膿がたまった場合などに、外科的な処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
症状がある間は自宅で安静に過ごしましょう。腫れが引くまでは学校や仕事を休み、他の人にうつさないように気をつけてください。通常、症状は1〜2週間で改善します。
生活習慣のアドバイス
- 手洗いやうがいをしっかり行い、ウイルスの拡散を防ぐ。
- タオルや食器は家族と別にする。
- 咳エチケット(マスクやティッシュで口を覆う)を守る。
- 腫れが治まっても、しばらくは激しい運動を避ける。
食事と運動
食事は、酸っぱいものや固いものを避け、やわらかくて飲み込みやすいものを少しずつ食べましょう。十分な水分をとることが大切です。運動は休養中は控え、回復してから徐々に再開してください。
精神的健康と心の健康
おたふく風邪は数日間不快な症状が続くため、特に子どもはイライラしたり不安になることがあります。大人も仕事や家事の制限でストレスを感じることがあります。症状が続く間はリラックスできる時間を作り、気分を紛らわせる工夫をしましょう。
予防
はい、予防接種(ワクチン)が最も効果的な予防方法です。日本では、麻疹・風疹・おたふく風邪の混合ワクチン(MMRワクチン)が定期接種として推奨されています(厚生労働省の予防接種スケジュールに従って)。また、感染している人との接触を避ける、手洗いや咳エチケットも予防に役立ちます。
ワクチン
日本では、おたふく風邪ワクチンは定期接種の対象です。通常、1歳になったら1回目、小学校入学前の1年間に2回目を接種します。ワクチンによっておたふく風邪を予防できる確率は高いですが、100%ではありません。接種についてはかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
おたふく風邪のスクリーニング検査は通常行われません。流行時に症状のある人が検査を受けることがあります。予防接種の効果を確認するための抗体検査も、医師が必要と判断した場合に行われます。
合併症
治療しない場合
- 髄膜炎(髄膜の炎症):頭痛、嘔吐、首の硬さなどが現れることがある。
- 睾丸炎(男性):睾丸が腫れて痛む。通常は治るが、まれに不妊の原因になることがある。
- 卵巣炎(女性):卵巣が炎症を起こし、腹痛が起こることがある。
- 難聴:片側の耳の聞こえが悪くなることがあり、まれに永続的な難聴になることがある。
- 膵炎(すい炎):腹痛や吐き気を伴うことがある。
長期的な見通し
おたふく風邪は多くの場合、合併症なく回復します。合併症が起きても、適切な治療を受ければほとんどの方は後遺症なく治ります。ただし、難聴など一部の合併症は長引く可能性があるため、異常を感じたら早めに医師に相談することが大切です。予防接種を受けることで、かかるリスクや合併症のリスクを大幅に減らせます。
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