Nephrotic syndrome overview
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ネフローゼ症候群とは、腎臓(じんぞう)のろ過(ろか)機能がうまく働かなくなり、血液中のたんぱく質が尿に漏れ出てしまう病気です。その結果、体にむくみ(浮腫)が現れたり、尿に泡(あわ)がたくさん出たりします。
重要な事実
- 腎臓のろ過機能が低下することで、大量のたんぱく質が尿に漏れ出ます。
- むくみ(浮腫)が主な症状で、特にまぶたや足首に現れやすいです。
- 子どもに多く見られますが、大人や高齢者でも発症します。
- 治療により症状をコントロールでき、多くの子どもは成長とともに良くなります。
ネフローゼ症候群は、それほど多くはない病気です。子どもでは2万人に1人程度、大人ではさらに少ないとされています。ただし、子どもに多い腎臓の病気の一つです。
主に2~6歳の小さな子どもに起こりやすく、男の子のほうがやや多いです。大人では40~60歳代の方にも見られます。糖尿病やループスなどの持病がある方も発症リスクが高まります。
症状
- 急に息が苦しくなる、胸が痛む(肺に水がたまるまたは血栓の可能性)
- 意識がもうろうとする、倒れる
- 片方の足が腫れて痛む(深部静脈血栓症の可能性)
- ⚠むくみが急に悪化し、体重が数日で3~5kg以上増えた
- ⚠尿の量が極端に減った
- ⚠発熱や腹痛がある(感染症の可能性)
- ⚠血尿が見られる
一般的な症状
- むくみ(特にまぶたや足、腹部など)
- 尿に泡が多く立つ(たんぱく尿)
- 体重が急に増える(むくみによる)
- 疲れやすくなる
- 食欲が落ちる
子供の症状
- まぶたのむくみで目が開けづらい
- おなかが張る(腹水)
- 陰のう(いんのう)や外陰部のむくみ
- イライラしやすくなる
- 病気のため学校を休みがちになることも
高齢者の症状
- 足のむくみが強く出やすい
- 息切れや呼吸の苦しさを感じることがある(肺に水がたまる場合)
- 高血圧を合併しやすい
- 血栓(けっせん)ができやすくなる
原因
主な原因
- 一次性(原因がはっきりしないもの)が最も多く、特に子どもでは「微小変化型」というタイプがほとんどです。
- 二次性(別の病気が原因で起こるもの)では、糖尿病性腎症、全身性エリテマトーデス(ループス)、感染症(B型肝炎など)、一部のがんや薬の影響があります。
リスク要因
- 子どもで男児であること
- 家族にアレルギー疾患がある(ただし直接的な遺伝ではない)
- 糖尿病やループスなどの持病がある
- 感染症にかかった後(特に風邪など)で発症することがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に息苦しくなった、胸が痛む
- むくみが急速に悪化し、体重が急増した
- 排尿がほとんどない
- 血栓の症状(片足の急な腫れや痛み)
定期受診を予約すべき場合:
- まぶたや足のむくみが続いている
- 尿の泡立ちが気になる
- 疲れが取れず、だるさが続く
診断
診断は、尿と血液の検査が基本です。尿にたんぱく質が大量に出ていること(たんぱく尿)、血液中のたんぱく質(アルブミン)が減っていること、コレステロールが高いことなどで判断します。必要に応じて腎臓の組織を一部取って調べる「腎生検(じんせいけん)」を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(たんぱく質の量を調べる)
- 血液検査(アルブミンやコレステロール、腎機能を調べる)
- 腎生検(原因を詳しく調べるために腎臓の組織を採取)
- 超音波検査(腎臓の形や大きさを確認)
診察で予想されること
検査は通常、外来や入院で行います。尿検査や血液検査は痛みも少なく、結果は数日で分かります。腎生検は局所麻酔をして行うため、手術中の痛みはほとんどありません。検査後は数時間安静にする必要がありますが、多くの方は翌日には歩けます。
治療
治療の主な目的は、たんぱく尿を減らし、むくみや合併症を防ぐことです。ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)が第一選択で、多くの場合で効果があります。効果が不十分な場合や再発を繰り返す場合は、免疫を抑える薬を追加することがあります。生活習慣の管理も重要です。
自宅でのセルフケア
- 塩分を控えた食事を心がける(むくみを軽減するため)
- 体重を毎日測り、急な増加に注意する
- 十分な休息をとり、無理をしない
- 感染症予防のため手洗いを徹底する
- 医師の指示に従い、水分の摂りすぎに注意する
医療治療
治療法には、ステロイド薬や免疫を調整する薬を使った薬物療法が中心です。これらの薬は医師の厳密な管理のもとで使用します。再発を防ぐために、薬を長期間ゆっくり減らす「漸減療法」が行われることもあります。また、むくみが強い場合には利尿薬で水分を排出する治療を行います。高血圧やコレステロールを下げる治療が必要になることもありますが、具体的な薬の名前や用量は医師が個別に決めます。
手術が検討される場合
通常、手術が必要になることはほとんどありません。ただし、腎生検は組織を採取するための小さな手術です。また、末期腎不全に進行した場合は透析や腎移植が必要になることがありますが、それはまれです。
この病気と共に生きる
ネフローゼ症候群とともに暮らすには、症状を安定させ、再発を防ぐことが大切です。薬は医師の指示通りに飲み続け、勝手にやめないようにしましょう。体調の変化(むくみや体重増加)に敏感になり、記録をつけると役立ちます。小さなお子さんの場合は、登園・登校について医師と相談し、感染症予防を徹底してください。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に体重を測る
- 塩分を控えたバランスの良い食事をとる
- 適度な運動は許可されますが、激しい運動は避ける(特にむくみがあるとき)
- 感染症にかからないよう、手洗い・うがいを励行する
- ストレスをためないようにし、十分な睡眠をとる
食事と運動
食事は減塩が基本です。むくみが強いときは水分も制限することがあります。たんぱく質は適量を摂ることが推奨されますが、過剰摂取は避けます。運動は、症状が安定していればウォーキングなどの軽い運動は問題ありません。激しいスポーツや長時間の運動は、医師に相談してからにしましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と向き合うことは、特に子どもやその家族にとって心理的な負担になることがあります。治療の副作用(ステロイド薬による体重増加や気分変動など)で外見や気分が変わることもあり、自己イメージに影響することがあります。そうした悩みは一人で抱え込まず、医師や看護師、カウンセラーに相談しましょう。厚生労働省も心のケアの重要性を認めています。
予防
一次性ネフローゼ症候群の多くは原因がはっきりしないため、確実な予防方法はありません。二次性のものであれば、基礎となる病気(糖尿病やループスなど)をしっかり治療し、コントロールすることが予防につながります。感染症がきっかけになることもあるため、日頃から手洗いやうがいを心がけ、感染予防に努めましょう。
ワクチン
おたふくかぜや水ぼうそうなどのワクチン接種は、感染症による再発を防ぐために推奨されることがあります。ただし、ステロイド薬などを使用している場合は、生ワクチンが接種できないこともあるため、必ず医師と相談してから受けてください。インフルエンザワクチンは接種可能な場合が多いですが、これも医師の指示に従いましょう。
検診プログラム
特に症状がなければ、ネフローゼ症候群を早期に見つけるための定期的な検診は一般的ではありません。しかし、学校検尿(学校で行う尿検査)でたんぱく尿が発見されることがあり、その後の診断につながることはよくあります。持病がある方や、むくみなどの症状がある方は、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 感染症にかかりやすくなる(特に腹膜炎や肺炎)
- 血液が固まりやすくなり、血栓症(肺塞栓症や深部静脈血栓症)のリスクが高まる
- 腎機能が徐々に低下し、慢性腎臓病や腎不全に進行する可能性がある
- 高血圧や心臓の合併症を起こすことがある
長期的な見通し
ネフローゼ症候群は、適切な治療を受ければ多くの場合で症状が改善します。特に子どもでは80~90%が薬で良くなり、成長とともに再発しにくくなります。大人でも、治療を続ければ症状をコントロールし、通常の生活を送ることができます。まれに治療が難しい場合もありますが、医学の進歩により選択肢は増えています。希望を持って治療に取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月26日
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