滲出性中耳炎
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)は、耳の奥(中耳)に液体がたまる病気です。この液体は通常、鼻と耳をつなぐ管(耳管)の働きが悪くなってたまります。感染による痛みはなく、主に耳が詰まった感じや聞こえにくさが続きます。
重要な事実
- 中耳に液体がたまるが、細菌やウイルスの感染による炎症ではない
- 多くの場合、自然に治ることが多い
- 特に小さな子どもに多く見られ、3歳までに約8割が一度は経験する
はい、とてもよく見られる病気です。特に幼い子どもで頻繁に起こりますが、大人でも風邪やアレルギーの後に起こることがあります。
主に6か月から4歳までの乳幼児に多く見られます。特に以下のような子どもに起こりやすいです:保育園に通っている、母乳ではなくミルクで育った、受動喫煙(タバコの煙を吸ってしまう)がある、アレルギー体質、生まれつき口蓋裂(こうがいれつ)があるなど。
症状
- 突然の激しい耳の痛み
- 39度以上の高熱
- 耳から膿や血が出る
- 片側の耳が突然全く聞こえなくなる
- 激しいめまいで立てない
- 顔の片側が動かしにくい(顔面神経麻痺の可能性)
- ⚠耳の痛みや聞こえにくさが数日続く
- ⚠子どもが耳を痛がって泣きやまない
- ⚠耳だれがある(黄色や緑色の液体)
- ⚠めまいやふらつきが続く
一般的な症状
- 耳が詰まった感じや圧迫感
- 聞こえが悪くなる(テレビの音量を上げる、呼びかけに反応が鈍い)
- 自分の声が大きく聞こえる(自声強聴)
- 耳の痛みはほとんどない
子供の症状
- 耳を引っ張る、触る
- 言葉の発達が遅れる(言われていることが理解できない)
- 集中力がない、授業中に不注意に見える
- バランスを崩しやすい(耳は平衡感覚にも関係するため)
- かんしゃくを起こす、イライラする
高齢者の症状
- 聞こえにくさが主な症状
- 耳の詰まり感が続く
- めまいやふらつきを伴うこともある
- 会話が聞き取りづらくなる
原因
主な原因
- 耳管(鼻と中耳をつなぐ管)の機能が未熟または障害されることで、中耳に液体がたまる
- 風邪やインフルエンザなどの上気道感染後に起こりやすい
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ちくのう症)が関係することがある
- 受動喫煙がリスクを高める
リスク要因
- 年齢:特に2歳以下の子ども
- 保育園や幼稚園に通っている(感染機会が多い)
- 家族に中耳炎を繰り返す人がいる
- 哺乳瓶でミルクを飲む(母乳より耳管機能が悪くなりやすいという研究あり)
- アレルギー体質(花粉症、アトピー性皮膚炎など)
- 受動喫煙
- 口蓋裂やダウン症などの先天異常
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳の痛みや聞こえにくさが急に悪化した
- 耳から膿や血が出た
- 高熱がある
- 子どもがぐったりしている、けいれんがある
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の詰まり感や聞こえにくさが2~3週間以上続く
- 子どもが言葉の遅れや聞こえの悪さを示す
- 学校や仕事で聞こえにくさを感じるようになった
- めまいやふらつきを伴う
診断
耳鼻咽喉科の医師が、耳の状態を調べるいくつかの検査で診断します。痛みを伴わない簡単な検査です。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡(じきょう)検査:耳の穴から中耳をのぞく
- 鼓膜の動きを調べる検査(ティンパノメトリー):鼓膜の振動を測り、中耳に液体があるかどうかを調べる
- 聴力検査:どの程度聞こえが悪いかを調べる(特に子どもでは言語発達に影響するため重要)
診察で予想されること
医師はまず、耳の穴に器具を入れて鼓膜の様子を見ます。次に、小さなプローブを耳に入れて鼓膜の動きを調べます。聴力検査では、ヘッドホンをして小さな音を聞き取ります。いずれも痛みはなく、5~10分程度で終わります。もし長く続く場合や再発を繰り返す場合は、さらに詳しい検査(CTやMRIなど)が必要になることもあります。
治療
滲出性中耳炎の治療は、経過観察が基本です。多くの場合、3~6か月以内に自然に治ります。聞こえに問題が出ている場合や、長引く場合はいくつかの治療方法があります。
自宅でのセルフケア
- 鼻をかむときは片方ずつ、優しくかむ(強くかむと耳管に圧力がかかる)
- 加湿器で部屋の湿度を適度に保つ
- タバコの煙を避ける(受動喫煙は治りを遅らせる)
- 風邪やアレルギーをしっかり治療する(鼻水を放置しない)
- 耳を触ったりいじったりしない
医療治療
医師は、まず経過観察を勧めることが多いです。もし聞こえが悪い状態が続く場合や、言語発達に影響が出そうな場合は、鼓膜に小さなチューブ(鼓膜チューブ)を入れる手術(鼓膜切開・チューブ留置術)を検討することがあります。また、鼻水やアレルギーがある場合は、それらを治療する内服薬や点鼻薬が処方されることがあります(具体的な薬名は医師に相談してください)。抗生物質は通常必要ありません。
手術が検討される場合
以下のような場合に、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置術が検討されることがあります: ・3か月以上液体がたまり続け、聞こえが悪い ・両耳に滲出性中耳炎があり、言語発達や学習に影響が出ている ・繰り返す中耳炎(急性中耳炎)を合併している ・大人でも長期間改善しない場合
この病気と共に生きる
日常生活では、聞こえにくさに気をつけて過ごしましょう。特に子どもは、テレビの音量を上げていなかったか、呼びかけに反応するかなどに注意してください。大人でも、会話が聞き取りにくい場合は、相手にゆっくり話してもらう、口の動きを見るなどの工夫をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 鼻水やアレルギーがある場合は、早めに治療する
- 耳を清潔に保つ(耳掃除のしすぎは逆効果)
- 水泳や入浴時に耳に水が入らないようにする必要は特にない(鼓膜に穴がない限り)
- 飛行機の離着陸時は、ガムを噛んだりあくびをして耳管を開きやすくする
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスの良い食事を心がけ、免疫力を高めましょう。運動は問題なく行えます。ただし、水泳の後の耳のケアは通常通りで大丈夫です。
精神的健康と心の健康
聞こえにくさが続くと、コミュニケーションが取りづらくなり、イライラや孤独感を感じることがあります。子どもでは、授業に集中できず「聞こえていない」と誤解されることがあります。大人も仕事や社会生活でストレスを感じることがあります。そうした気持ちは自然なことです。家族や周囲の理解とサポートが大切です。
予防
完全に予防するのは難しいですが、以下のような対策でリスクを減らせることが知られています。
ワクチン
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンは、急性中耳炎の予防に有効であり、結果的に滲出性中耳炎のリスクも減らす可能性があります。日本では定期接種の対象となっているものもありますので、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特に乳幼児では、聴覚スクリーニング検査が行われることがあります。日本では、新生児聴覚スクリーニングが多くの自治体で実施されています。保育園や幼稚園の健康診断でも、聞こえのチェックが行われることがあります。気になる場合は、保健師や小児科医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 言語発達の遅れ(特に子ども)
- 学習障害や注意欠如と誤認されることがある
- 難聴が長引く(一時的または永続的になることも)
- 急性中耳炎を繰り返す
- 鼓膜が萎縮したり癒着したりする(癒着性中耳炎)
- まれに内耳に影響が及び、めまいや平衡感覚障害を起こす
長期的な見通し
多くの滲出性中耳炎は、数か月以内に自然に治ります。治療が必要な場合も、鼓膜チューブの手術などで聞こえは改善します。早期に発見して適切に対応すれば、後遺症を残さずに治ることがほとんどです。お子さんの場合、聞こえの状態を定期的にチェックしながら、言語や学習の発達を見守ることが大切です。不安なことがあれば、必ず医師に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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