旅行者下痢症
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
旅行者下痢症とは、海外旅行中や帰国後に、今まで住んでいた環境とは異なる細菌やウイルスなどに感染しておこる下痢のことです。ほとんどの場合、数日で自然によくなりますが、水分をしっかりとることが大切です。
重要な事実
- 発展途上国への旅行者に多く見られます。
- 原因のほとんどは細菌(特に大腸菌)ですが、ウイルスや原虫の場合もあります。
- 適切な水分補給と休息で、多くの人は3~5日で回復します。
とてもよくある病気で、発展途上国を訪れる旅行者の10~50%がかかると言われています。
海外旅行をする人なら誰でもかかる可能性がありますが、特に衛生状態の整っていない地域に行く人、若い大人(新しい環境の細菌に免疫がないため)、免疫力が弱っている人は注意が必要です。
症状
- 便に大量の血が混じる、または真っ黒な便が出る
- 激しい腹痛が続く
- 水分が全く取れず、ぐったりしている
- 意識がもうろうとする
- ⚠38.5℃以上の高熱が続く
- ⚠下痢が3日以上続く
- ⚠激しい嘔吐で水分が取れない
- ⚠強い脱水症状(尿が6時間以上出ない、口の中が乾く、立ちくらみがする)
一般的な症状
- 突然の水のような下痢(1日に3回以上)
- おなかの痛みやけいれん
- 吐き気や嘔吐
- 熱(37.5℃以上になることも)
- 便に血が混じることはあまり多くありませんが、重症の場合あり
子供の症状
- 下痢の回数が多く、すぐに脱水症状になりやすい(ぐったりする、泣いても涙が出ない、おしっこの量が減る)
- 嘔吐を伴うことが多い
- 高熱が出ることがある
高齢者の症状
- 脱水症状のリスクが高い(口や皮膚が乾く、めまい、立ちくらみ)
- 下痢が長引くことがある
- 持病(糖尿病や心臓病など)がある人は重症化しやすい
原因
主な原因
- 汚染された食べ物や飲み物に含まれる細菌(大腸菌、カンピロバクター、サルモネラなど)
- ウイルス(ノロウイルスやロタウイルス)
- 原虫(ランブル鞭毛虫など)
リスク要因
- 衛生状態の良くない地域へ旅行する
- 生ものや氷、水道水を口にする
- 屋台の食べ物
- 免疫力が低下している(高齢者、乳幼児、持病がある人)
- 胃酸を抑える薬を使っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血の混じった下痢
- 高熱(38.5℃以上)が続く
- 激しい腹痛で動けない
- 水分が取れず、脱水症状がひどい
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が3~4日以上続く
- 海外旅行から帰国後1週間以内に下痢が始まり、なかなか治らない
- 同じ旅行者グループで複数の人が症状を出している
診断
医師が症状と海外旅行の場所を聞き、必要に応じて便の検査を行います。問診がとても重要です。
行われる可能性のある検査
- 便の顕微鏡検査(細菌や原虫がいないか調べる)
- 便の培養検査(細菌の種類を特定する)
- 血液検査(脱水や炎症の程度を調べる)
診察で予想されること
診察では、いつから下痢が始まったか、旅行先、食べたもの、症状の詳しさなどを聞かれます。軽い場合は検査せずに、症状を和らげるアドバイスと水分補給の指示があるだけです。重症の場合は便検査をして、原因に合わせた治療を受けます。
治療
旅行者下痢症の治療の基本は、水分をしっかり補給して体を休めることです。多くの場合は自然に治りますが、症状が重いときは医療機関で治療を受けます。
自宅でのセルフケア
- 経口補水液(OS-1など)やスポーツドリンクをこまめに飲む(水だけでは塩分が不足します)
- 消化に良い食事(おかゆ、うどん、バナナなど)を少しずつ取る
- 脂肪分や乳製品、刺激物(辛いもの・アルコール)は避ける
- しっかり休む
- 手洗いを徹底する
医療治療
重症の場合、医師は原因となる細菌に効果のある抗生物質を処方することがあります。また、下痢を一時的に抑える薬が使われることもありますが、自己判断では使わず、医師の指示に従ってください。海外では抗生物質が市販で手に入ることもありますが、必ず現地の医療機関を受診してから使いましょう。
この病気と共に生きる
下痢が続く間は、外出を控えて安静にしてください。十分な水分補給と休息をとることで、ほとんどの場合は数日で回復します。
生活習慣のアドバイス
- しっかり手を洗う(特にトイレの後や食事の前)
- 下痢が治まるまでは人との濃厚接触を避ける
- タオルや食器は別にする
- 便座やドアノブなどは消毒する
食事と運動
下痢が続く間は、消化の良いものを少しずつ食べてください。運動は控え、回復してから徐々に始めましょう。
精神的健康と心の健康
旅行中に体調を崩すと不安になるかもしれませんが、多くの人は数日で治ります。無理をせず、ゆっくり休むことが大切です。心配なときは医療機関に相談しましょう。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、リスクを大きく減らすことはできます。
ワクチン
コレラワクチン(一部の地域で推奨されることがありますが、一般的ではありません)
合併症
治療しない場合
- 脱水症状(特に子どもや高齢者で重症化することがある)
- 電解質(ナトリウムやカリウム)の乱れ
- まれに、腸に穴が開くなどの重い合併症
長期的な見通し
ほとんどの人は数日で自然に治り、後遺症もありません。適切な水分補給と休養で問題なく回復します。重症化することはまれです。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月29日
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