Whooping Cough (Pertussis)
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
百日咳(ひゃくにちぜき)は、百日咳菌(ひゃくにちぜききん)という細菌に感染することで起こる呼吸器の病気です。激しい咳(せき)の発作が長く続くのが特徴で、特に乳幼児では重症になりやすいため、注意が必要です。せきをするときに「ヒュー」という音がすることがあり、これを「レプリーズ(whoop)」と呼びます。
重要な事実
- 百日咳は、せきやくしゃみで飛まつ感染する、非常に感染力の強い病気です。
- ワクチンで予防することができ、日本では定期接種(小児用)が推奨されています。
- 生後間もない赤ちゃんやワクチンを接種していない人は、重症化リスクが高くなります。
日本ではワクチン接種の普及により、年間の患者数は大きく減少しました。しかし、近年は大人の患者が増えており、特にワクチンの効果が切れた方や接種していない方に感染が見られます。厚生労働省のデータでは、毎年数千人の報告があります。
主に乳幼児がかかりやすい病気ですが、年長の子どもや大人も感染します。特に生後6か月未満の赤ちゃんは重症化しやすく、入院が必要になることもあります。また、ワクチンを接種していない人や、接種から時間が経って免疫力が低下した大人も注意が必要です。
症状
- 呼吸が苦しそうで、息ができていない
- 唇や顔色が青紫色になる
- せきの発作で意識を失う
- けいれんを起こす
- 生後3か月未満の赤ちゃんが、激しいせきや無呼吸を起こしている
- ⚠せきがひどくて夜も眠れない
- ⚠せきの後、吐いてしまう
- ⚠せきが2週間以上続いている
- ⚠38度以上の発熱がある
一般的な症状
- 感染後7~10日で、鼻水や軽いせきなどの風邪のような症状が現れます。
- その後、1~2週間ほどで、特徴的な「激しいせきの発作」が始まります。せきが止まらず、息を吸うときに「ヒュー」という音がすることがあります。
- せきの発作の後、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことがあります。
- 発熱は軽いか、ほとんどありません。
子供の症状
- 乳幼児では、せきの発作が特に激しく、顔色が悪くなったり、唇が紫色になる(チアノーゼ)ことがあります。
- 息を止める(無呼吸)発作が起こることがあり、非常に危険です。
- せきの後、眠くなったり、ぐったりすることがあります。
高齢者の症状
- 大人や年長児では、症状が軽いことが多く、「長引くせき」として気づかれないことがあります。
- 典型的な「ヒュー」という音が出ないこともあります。
- せきが数週間から数か月続くこともあります。
原因
主な原因
- 百日咳菌(Bordetella pertussis)という細菌の感染が原因です。
- 感染した人のせきやくしゃみのしぶき(飛まつ)を吸い込むことでうつります。
- 感染力は非常に強く、家族内感染が多いです。
リスク要因
- ワクチンを接種していない(または未完了)
- ワクチンの効果が切れている(成人では接種後5~10年で免疫力が低下)
- 乳幼児と接する機会が多い(親、保育士、医療従事者など)
- 百日咳の流行地域への渡航
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 2週間以上続くせきで、特に発作的に激しいせきがある
- せきの後に「ヒュー」という音がする
- せきで吐いてしまう
- 乳幼児で、せきの後に顔色が悪くなる
定期受診を予約すべき場合:
- せきが2週間以上続くが、発熱や症状が軽い
- 家族や周囲に百日咳の人がいる
- ワクチン接種状況を確認したい
診断
百日咳の診断は、症状の経過と問診、そして検査で行います。特に「激しいせきの発作」や「ヒュー」という音が特徴的です。
行われる可能性のある検査
- 鼻の奥から綿棒で分泌物を採取し、百日咳菌の遺伝子を調べるPCR検査が最も正確です。
- 細菌を培養する検査もありますが、時間がかかります。
- 血液検査で抗体の有無を調べることもありますが、ワクチン接種の影響を受けるため、診断には追加の確認が必要です。
診察で予想されること
病院では、まず問診と身体診察を行います。せきの様子やワクチン接種の有無、周囲の感染状況などを詳しく聞かれます。検査が必要と判断された場合、鼻の奥から検体を取るため、少し不快感がありますが数分で終わります。結果が出るまでに数日かかることがあります。診断が確定したら、適切な治療と感染対策について説明があります。
治療
百日咳の治療は、抗菌薬(細菌を抑える薬)と、症状を和らげるための対症療法(からだを楽にする方法)が中心です。特にせきの発作がひどい場合は、入院して酸素吸入や点滴などの治療を行うこともあります。抗菌薬は、感染初期(せきが出始めてから2週間以内)に飲み始めると効果的で、周りへの感染も抑えられます。
自宅でのセルフケア
- 安静にし、十分な休息をとりましょう。
- こまめに水分を補給し、せきで吐いても脱水にならないようにしましょう。
- 室内を加湿し、せきを誘発する刺激(タバコの煙、強い香り、冷たい空気など)を避けましょう。
- せきの発作時は、落ち着いてゆっくり呼吸できるよう、背中を優しくさすってあげると楽になることがあります。
- 手洗いやマスクの着用を徹底し、周りの人への感染を防ぎましょう。
医療治療
医師の判断に基づいて、抗菌薬が処方されます。症状によっては、せきを鎮める薬や気道を広げる薬が使われることもあります。乳幼児や重症の場合は、入院して酸素投与や点滴による水分補給、気道のケア(痰の吸引など)を行います。治療は症状の経過を見ながら行われ、せきが治まるまで数週間かかることもあります。
手術が検討される場合
百日咳に対して手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
百日咳と診断されたら、まずは感染を広げないために、症状が出始めてから少なくとも5日間は抗菌薬を飲んでいるか、またはせきが治まるまで外出を控えましょう。特に乳幼児や高齢者と接する機会がある場合は、注意が必要です。安静を第一に、無理をしない生活を心がけてください。せきの発作は夜間に起こりやすいので、寝室を清潔に保ち、加湿器を使うと眠りやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 感染期間中は人混みを避け、マスクを着用しましょう。
- 十分な睡眠と休養をとり、体力を回復させましょう。
- 禁煙を心がけ、受動喫煙も避けましょう。
- ストレスをためないように、リラックスできる時間を作りましょう。
食事と運動
食事は消化の良いものを少しずつとり、せきで吐いても栄養を補えるようにしましょう。柔らかくて温かいスープやおかゆ、果物などがおすすめです。運動は、せきが治まるまでは控え、軽いストレッチや室内でのゆっくりとした動きにとどめましょう。激しい運動はせきを誘発することがあります。
精神的健康と心の健康
長く続くせきは、体力を消耗するだけでなく、眠れないことや仕事や学校に行けないことで不安やストレスを感じることがあります。また、せきの発作が他人の目を気にしてしまうこともあるでしょう。自分を責めず、回復には時間がかかることを受け入れ、気分転換を心がけてください。必要であれば、医師やカウンセラーに相談することも大切です。
予防
百日咳は、ワクチン接種でしっかり予防できる病気です。日本では、生後2か月からワクチンの定期接種が始まります。また、成人でもワクチンの効果は時間とともに弱まるため、特に妊娠後期の女性や乳幼児と接する機会が多い方は、追加接種が推奨されることがあります。手洗いやマスクの着用などの基本的な感染対策も効果的です。
ワクチン
日本では、百日咳ワクチンは「四種混合ワクチン(DPT-IPV)」として、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオと一緒に接種されます。定期接種は生後2か月から、3~8週間の間隔で3回、その後1年後と小学校入学前に追加接種があります。妊娠中の女性も、出産前にワクチンを接種することで、赤ちゃんに抗体を渡すことができ、乳児の重症化を防ぐ効果が期待されています。詳細は厚生労働省やお住まいの自治体の情報をご確認ください。
検診プログラム
百日咳の検査(スクリーニング)は、症状がある場合に行われます。無症状の方を対象にした定期検診はありませんが、ワクチン接種状況の確認や、流行時に周囲の感染を調べるために検査が行われることがあります。
合併症
治療しない場合
- 乳幼児では、肺炎(肺に炎症が起こる)を起こしやすくなります。
- 重症の場合、けいれんや脳症(脳の炎症)を起こすことがあります。
- 無呼吸発作による低酸素状態が長引くと、後遺症が残るリスクがあります。
- せきが激しいため、肋骨(ろっこつ)にひびが入ったり、腹圧が上がってヘルニアができることがあります。
- 大人でも、長引くせきで睡眠不足や疲労がたまり、日常生活に支障をきたすことがあります。
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、ほとんどの方は回復します。特に抗菌薬が早期に使われると、症状の重症化を防ぎ、感染期間を短くできます。乳幼児でも、入院治療により酸素や栄養の管理をしっかり行えば、重い合併症を防げることが多いです。回復後は免疫ができるため、再度かかることはまれです。ワクチン接種も含め、予防と早めの受診が大切です。希望を持って治療に取り組みましょう。
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国際機関
地域の団体
- 厚生労働省 - 百日咳に関する情報 ↗ · 日本
- 国立感染症研究所 - 百日咳 ↗ · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。